終末期に家族ができる7つのこと|病院でもらえるパンフレット一覧
終末期とは、病気や老衰でこれ以上の治療効果が見込めず、予期される死への対応が必要となった時期を指します。大切な家族が「終末期」と診断されたとき、どのように心身が変化していくのか、そして家族の為に自分は何ができるのかを考えるのは縁起でもないと思ってしまいますよね。
けれども、終末期の対応を事前に知らないまま、いざその時を迎えると、パニックに陥ったまま旅立ちを迎えてしまい、深い後悔に苛まれるケースもあるのです。
「あの時もっと側にいてあげれば良かった」「お互い話ができるうちに大事なことを話し合っておきたかった」
こんな悔いを残さない為に、今回は終末期に家族ができる7つのことを紹介します。そして、終末期を迎えた際に病院でもらえるパンフレットの内容についても解説しています。今家族が終末期を迎えている方、もしくは今家族は元気だけど、終末期にできる事を知っておきたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
終末期に家族ができる7つのこと
終末期を迎えた人の為に、家族ができる最も大切なことは「側にいて、同じ時間をすごすこと」です。
終末期と聞くと、何か特別なことをしなければならないと身構えてしまいますが、決してそんなことはありません。
施設にいる場合であれ、在宅で介護する場合であれ、必要な医療的ケアは施設職員の方や訪問看護の方が適宜行います。
医療的ケア以外の精神的ケアに家族の存在は必要不可欠ですが、それは普段の会話の幅を少し広げるだけで十分可能です。
ひとつずつ解説していきますね。
本人がしたいことを応援する
本人と意思疎通ができ、身体が動く状態であれば、本人のやりたいことを積極的にサポートし、応援してあげましょう。
かかりつけ医と相談しながら、無理のない範囲で旅行に行ったり、買い物をするなど、やりたいことをひとつずつやりきっていくことで、達成感が得られます。
その後、家族と一緒に「あれができた」「これもできた」と振り返ると、後悔の念を減らして、前向きな気持ちで自身の最期と向き合えるようになります。
旅行などが難しくても、例えば自分で身だしなみを整える、本人が着たい服を選んで着るといった、些細なことの積み重ねで達成感は獲得可能です。
女性の方でメイクが好きな方は、自分でメイクをすると気持ちが明るくなりますよ。
本人が「できた!」を感じられる体験を増やしていくのは、側にいる家族も嬉しいものです。
本人と家族が無理なくできることからで構いません。ぜひチャレンジしてくださいね。
本人の話を聞く
本人の話を聞き、無理に変えようとせず、気持ちに寄り添うだけでモヤモヤした思いが随分楽になります。
終末期を迎えた本人の胸には、死への恐怖は勿論、今までの人生の後悔や自責の念、家族や会社に迷惑ばかりかけて申し訳ないという気持ちなど、様々な感情が去来します。
自分の身体が思うようにならない苦痛や怒り、もう自分は早くいなくなってしまった方が良いと感じてしまうこともあるでしょう。
こんな時、家族も本人同様にショックを受け、どう受け止めてあげたら良いのか戸惑ってしまいますよね。
身体の痛みや苦しみ、死の恐怖は、本人にしか分からず、家族が変わることはできません。しかし、家族が話を聞き、寄り添うことで、本人は「この人は少しでも分かってくれようとしているんだな」と安堵し、不安や恐怖の軽減に繋がるのです。
また、本人の気持ちに寄り添うのと同時に、家族の感情も大切にしてください。
終末期では、本人の心身の状態が旅立ちに向けて変化していきます。その過程で家族がショックを受けたり、受け入れられず戸惑い、苦しくなるのはおかしいことではなく、ごく自然な反応です。
本人と向き合うのが苦しくなったときは、一人で抱え込まず、身近なケアマネージャーの方や、かかりつけ医、看護師などに遠慮なく相談してくださいね。
できるだけ一緒に過ごす
何もしなくても、ただ本人と同じ空間にいて同じ時間を過ごすだけで、本人はすごく励みになり、安心に繋がっています。
死の間際に、最後まで残るのは聴覚だと言われています。寝たきりで意思の疎通ができなくなっても、声をかけたり、身体に触れたり、家族が側にいてくれることを、本人はしっかりと感じ取り、勇気づけられているはずです。
本人が若い頃好きだった音楽があれば、BGMとして流してあげるのも良いですよ。音楽は記憶や感情と深く結びついているので、懐かしい音楽を聴くと当時の感情がよみがえり、気持ちの安定に繋がります。
会いたい人に会う機会を作る
「小さな達成感を積み重ねる」「後悔を減らす」という点で、本人が会いたい人に会えるようサポートすることも大切です。
直接会うのがどうしても難しい場合は、ビデオ通話や、手紙を書くのもおすすめです。
お世話になった人や大切な友人に気持ちを伝えられると、本人の気持ちもすっきりします。本人が直接連絡を取るのが難しい場合は、家族が手紙を代筆したり、電話をかける等して、働きかけのサポートをしてあげましょう。
遺言書の作成をサポートする
本人が亡くなった後に家族に託したい思いがある場合は、早めに遺言書の作成をサポートしてあげてください。
遺言書が無い場合は、遺産は法定で定められた相続割合で相続されますが、遺言書がある場合は、法定相続分よりも遺言書の内容が優先的に実現されます。
遺言書には法律上、厳格な様式が定められており、様式が少しでも守られていないものは全て無効となるので注意が必要です。
後のトラブルを防ぐ為にも、遺言書の作成は弁護士などの専門家と相談しながら進めるのが賢明です。
エンディングノートを作成する
本人が伝えたいこと、残しておきたいことを記録する為に、エンディングノートの作成は早めにサポートしましょう。
特に何を書かないといけないという決まりはありません。書き出しに迷った場合は、趣味や好きな食べ物、印象に残っている旅行先など、本人が書きやすいものから始めてみると良いですよ。
エンディングノートは、家族と会話しながら書くと筆が進みやすかったという声が多いです。これまでの人生を和やかに振り返る気持ちで、楽んで書くことで本人の胸のつかえが取れ、気持ちが整理されます。
遺言や財産目録、資産状況を記しておくことは、残された家族の為にも大切なことです。その他、お墓や葬儀の準備、喪主を務めてほしい人などを記しておくことで、本人も家族も、慌てず穏やかにお別れを迎える準備ができます。
亡くなった後の葬儀や資産の話なんて縁起でもないと、話すのを嫌がる人もいます。ですが、本人の希望する葬儀でお別れをする為に、そして本人亡きあと残された家族が片付けに困らない為にも非常に重要な点ですので、ぜひ早めに話し合い、ノートに記しておきましょう。
エンディングノートは法的拘束力を持ちませんので、気持ちが変わったら自由に書き直したり、その都度修正することも可能です。
本人の気持ちを大切にしながら、オリジナルのエンディングノートを完成させてください。
遺産相続については法律に則って遺言書を作成し、適切に保管することを忘れないようにしてください。
専門家に相談する
ここまで家族ができることを6つ紹介してきましたが、全てを家族が完璧にやらないといけないわけではありません。
終末期がどのくらい続くかは人によって異なります。容態が急変し、家族もどうしたら良いか分からずパニックに陥ってしまうこともあります。本人の容姿や性格が変わっていき、家族は受け止めきれず思い悩む時もあるでしょう。
そんな時はぜひ、身近にいる専門家を頼って欲しいのです。
遺言書については弁護士など、心身の状態や自宅でできるケアの方法については、かかりつけ医や看護師、ヘルパーなど、在宅で介護するのが苦しくなった場合はケアマネージャーに相談してください。
終末期を迎えた人のサポートに、家族の存在はとても心強いものですが、まずは家族の心身の健康があってこそです。
身内のことだけに気軽に話しにくいことではありますが、専門家はこれまで様々なケースに対応しており、経験や知識も豊富なので、適切なアドバイスをもらえます。
辛いときは絶対に一人で抱え込まないでくださいね。
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終末期に病院でもらえるパンフレット一覧
所謂「看取りのパンフレット」と呼ばれるもので、終末期を迎えた患者の体の変化や、それに家族がどう対応すれば良いかが書かれています。
各都道府県や病院が発行しており、病院などを通じて、終末期を迎えた患者の家族に渡されることが多いです。
ここではインターネット上で閲覧できるものを3点紹介しますので、参考にしてください。
「これからの過ごし方について」
出典〘緩和ケア普及のための地域プロジェクト:OPTIM study(厚生労働科学研究 がん対策のための戦略研究)〙
http://gankanwa.umin.jp/pamph.html
医師、看護師から患者本人、家族に向けて説明する際に使用することを想定とした看取りのパンフレットです。
がん患者の為の緩和ケアや、終末期を迎えた患者の心身の変化について分かりやすく書かれていますが、がん患者以外の終末期の方にも当てはまる部分が多く、参考になります。
「おだやかな在宅看取りのために〜大切な人への寄り添い方〜」
出典〘宇都宮市在宅療養パンフレット(在宅看取り編)〙
https://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/kurashi/kenko/1012920/1012922.html
おだやかな看取りを迎えるために、あらかじめ知っておいて欲しいことが書かれています。旅立ちの時が近づいた時の患者の心身の状態や、患者が呼吸をしていないと感じられた時、どう対応したら良いかが分かりやすくまとめられています。旅立ちの時はどうしても平常心でいられなくなるので、一度目を通しておくのがおすすめです。
『「住み慣れた施設で最期まで暮らすということ」』
出典(福岡県)
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/zaitaku-mitoripamph.html
施設で看取りをすると決めた家族向けのパンフレットです。
今は施設での看取りを選択する方も増えていますが「本当にこれで良かったのか」「やっぱり家で看取りたいと言ったら迷惑になるだろうか」と迷いや悩みが生じることがあります。そんな悩みにも寄り添った優しい語り口調で、迷ったときはいつでも施設に相談して良いのだと分かります。
施設で看取りをした方の感想も載っているので、看取りの場所を悩んでいる方におすすめです。
ひとりで抱え込まず、困ったときはケアマネージャーなどに相談しよう
終末期を迎えた患者に、家族が与えられる安心感は計り知れないものがあります。特別なことをする必要はなく、側にいる時間を増やすこと、何気ない会話を楽しむことで、家族の気持ちは十分に伝わっています。
この記事を最後まで読んでくださった方は、きっと家族思いの真面目で優しい方です。終末期を迎えた本人のケアや、やりたいことのサポートは勿論大切ですが、家族の皆様の心身もぜひ労わってあげてください。
家族が元気でいることが、本人にとって何よりの支えになります。介護をするうえで困ったことや辛いことがあれば、一人で抱え込まず身近なケアマネージャーや、かかりつけ医などに相談してください。人生最後の時間を悔いなく過ごせるよう、今回の記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
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