エンディングノートを書いてくれないのはなぜ?終活しない親への接し方3選
万が一の時に備えて没後の意向や手続きに関わる情報を記録しておくことは重要です。特に、残された家族からすれば、葬儀の手配や身の回りの整理をはじめやらなければいけないことがたくさんあります。
しかし、故人の意向や情報がわからなければ、手をつけられないことも多いのが現実です。だからこそ、家族のなかには、「ご両親にエンディングノートを書いてほしい」と思っている人たちもいるはずです。
とはいえ、いざ父親や母親にエンディングノートについて相談したところ、「書かないよ」と断られてしまった人たちもいるのではないでしょうか?
この記事では、「エンディングノートを書いてくれないのはなぜなのか?」という疑問について考察しています。また、終活しない親との接し方も紹介しているので、家族の今後について考えている人たちは参考にしてみてください。
エンディングノートを書いてくれないのはなぜ?
さて、親をはじめ家族がエンディングノートを書いてくれないのは、どうしてなのでしょうか?
一概には言えませんが、ここでは3つの理由を紹介していきます。
理由1 縁起が悪い
第1に、死について考えることは縁起が悪いと考えている人たちもいます。
いうまでもなく、エンディングノートは没後の意向を具体的に記したものです。すなわち、自分が死んだときのことを考えながら作成するものでもあると言えます。
けれども、いざ「死」と向き合い始めると、そこには漠然とした恐怖が芽生えてきます。
例えば、「亡くなる瞬間に強い痛みがあるのではないか?」、「こんなにも楽しい人生が終わるのは嫌だ」、「死んだ後はどうなってしまうのか?」など、生きている今、この瞬間に考えてもどうしようもないことに捉われて、ネガティブな気持ちになってしまうことがあるわけです。
いつ、どこで、誰が死んでもおかしくないのにもかかわらず、自分が亡くなることを想像するのは怖い。これは決して不自然なことではありません。むしろ、正体不明な「死」に対して考えたくないという気持ちは、当たり前なことであると言ってよいでしょう。
理由2 嫌悪感を抱いている
第2に、家族からエンディングノートを薦められることに嫌悪感を抱いている人たちもいるでしょう。
「エンディングノートを書いてほしい」というメッセージは相手が亡くなることを想定しているわけですから、「早く死ねってことか……」と悲観して誤解を抱いてしまう人たちもいるかもしれません。たしかに、「まだまだ元気で長生きするぞ」と意気込んでいる人にとって、大切な家族からエンディングの話をされるのは癪に障る可能性があります。
その意味では、そもそもあなたがエンディングノートを書いてもらいたい理由がうまく伝わっていないと言えるでしょう。だれだって、大切な家族に後悔なく、長生きしてもらいたいですよね。しかし、死にまつわる話はセンシティブな内容になりやすいので、伝え方やタイミングを間違えると、マイナスに解釈されてしまうので注意してください。
理由3 考える項目が多すぎて挫折した
第3に、エンディングノートを書こうとしたら、考える項目があまりにも多くて挫折した人たちもいるでしょう。
実際、エンディングノートの項目は葬儀やお墓、財産、相続、医療・介護の意向など多岐にわたります。専門的な内容を数多く含んでいるため、記入するとなると調べることも徐々に増えていきます。その結果、「面倒くさくなった」という人たちもいるはずです。
特に、一人で記入し続けていると事務的な辛い作業に感じて、つい手が止まってしまう人たちもいるはずです。なかには、紙媒体のエンディングノートで記載内容を間違ったときの修正に手間取ることもあるでしょう。
エンディングノートを書いたほうがよいのはわかっているけれども、作業としてのハードルが高くて思うよう進まないのも書いてくれない理由のひとつになると考えられます。
終活しない親との接し方3選
それでは、終活しない親との接し方は具体的にどうすればよいのでしょうか?
ここでは、大きく3つのポイントを説明していきます。
その1 両親の意向を叶えたいと伝える
はじめに、「両親が望む没後の意向を叶えたい」という思いやりの気持ちを伝えることが大切です。
本人が「残された家族が困る」という理由で自発的に書くならともかく、娘や息子、夫や妻から「死んだ後に色々と困るから」というニュアンスでエンディングノートの作成を依頼されると寂しい気持ちになる人もいます。
だからこそ、まずは「相手の気持ちを尊重したい」という態度で接することが重要です。いきなり「エンディングノートを書いてほしい」というお願いをするのではなく、残りの人生でやりたいことやライフヒストリーを聞きながら、親の人生に対して敬意と愛情を持ってコミュニケーションし続けることが求められます。
方法や策を講じる前に「真心」がなければ、本人の死が関わるセンシティブな話はうまくできないのです。むしろ、相続などのお金が絡む話ばかりが目立てば、家族といえども不信感が生まれるおそれがあるので注意してください。
その2 自分も一緒に終活を始める
続いて、自分も親と一緒に終活を始めるのも大切なことです。
一般的に、親よりも子が先に亡くなるのは悲しい出来事に他なりません。しかし、本質的には、立場の如何にかかわらず、命の終わりは予測できないものです。その意味では、「エンディングノートを書いてほしい」と依頼する側もまた終活の当事者と言えるでしょう。現に20代や30代でも終活に興味を持っている若者はたくさんいます。
したがって、まずは自分が先にエンディングノートを作成して、万が一の時に備えて没後の意向を両親や兄弟に伝えるのも大切なことなのです。もちろん、親からすると、娘や息子がいきなり終活を始めると驚くに違いありませんから、きっかけや理由を丁寧に説明して安心させる必要があります。
自分が亡くなったときのことを踏まえて1日1日を生きることで本当に大切な優先順位が明らかになるはずです。終活は死に向かって準備するだけではなく、よりよい生の選択にも寄与するという側面があります。
その3 お墓の継承から話してみる
最後に、親子共通の課題として「お墓の継承」から話してみるのもよいでしょう。
葬儀や相続の話も大切ですが、「将来的にお墓をどうすればよいのか?」というトピックは子どもの問題として受け入れてもらいやすいと考えられます。事実、いつかは継承したり、墓じまいをしたりするなどの対応が必要になるわけですから、親からしても違和感を抱きづらいはずです。
お墓の継承に関する話が進めば、その他も話題も関連して話しやすくなるはずです。
デジタルサービスを活用しよう
なお、近年では、エンディングノートのデジタル化も進み、終活の枠を超えた付加価値の高いサービスも誕生しています。当社が開発している「SouSou」もデジタルの力で、残す人(本人)と残される人(家族・友人)の想いを繋ぐ新しいエンディングの体験を創出するサービスです。詳細はこちらの動画をご覧ください。
エンディングノートを書いてくれない親にも、ちゃんと理由があります。それを無視して、子どもの立場だけでお願いするだけでは話を進めることはできません。大切なことは親子でも、まずは相手の気持ちを尊重して真心を持って接することです。終活に関して話すことをきっかけに相互理解を深めて、よりよい親子関係を作りましょう。
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