【HEROES HISTORY#354】伊藤仁斎

伊藤仁斎は、江戸時代中期の儒学者で、日本の古代儒学を開拓した人物として知られています。彼は1627年8月30日に生まれ、1705年4月5日に78歳でこの世を去りました。彼の生涯は、幕末の世を背景に、学問と教育に生涯を捧げ、儒学を基盤にした日本固有の学問「古学」を開いたことで知られています。

伊藤仁斎の生涯

1627年、陽の光が照りつける田舎の一軒家で、仁斎は世に生を受けました。その鋭い瞳は、初めから世界への深い洞察力を示していました。幼少期から勉強熱心な彼は、多くの典籍を読みあさり、その聡明さは周囲に広く認知されることとなりました。

23歳で京都に上ると、江戸幕府の侍講に任命され、その名は一躍、時代の先端に躍り出ました。朱子学に反旗を翻し、仁斎独自の哲学、古学を創設します。時代の潮流に抗いながらも、彼の学問は次第に認知され、大名や将軍家からも重んじられるようになりました。

伊藤仁斎の最期

瞳に映る世界は歳月と共に変わりますが、仁斎の心中の炎は永遠に変わることはありませんでした。時代と共に身体は衰え、声はかすれていきましたが、彼の情熱、志向は一向に衰えることなく、最期の瞬間まで彼の学問への情熱は揺るがなかったのです。

仁斎は1705年、京都の自宅で静かに息を引き取りました。彼の最期は、病床に伏して苦しむ姿ではなく、あくまで彼自身の生涯を通じて追求し続けた学問への熱意を保ち続ける姿でありました。彼が遺した学問とその精神は、今日に至るまで多くの学者や生徒たちに引き継がれ、その生涯と業績は日本の知識と精神の源泉となっています。

伊藤仁斎の格言

「凡そ事皆な当にこれを近きに求むべし」

「凡そ事皆な当にこれを近きに求むべし」。仁斎が遺したこの格言は、彼の思想の核心を表しています。この言葉は、直訳すると「全ての事について、真理は身近な所に求めるべきだ」となります。

仁斎の哲学は、大抵の事象について、その答えや真実は常に我々のすぐ傍に存在するという視点を強調しています。遠くにある抽象的な概念や理論に頼るのではなく、具体的な現実の中にこそ答えがあるという彼の思想は、その学問のアプローチや解釈において画期的でした。

彼の格言は、私たちが目の前の現実を真剣に見つめ、身近な場所から学ぶことの重要性を示しています。現代においても、この言葉は私たちにとって多くの示唆を与えてくれます。